副鼻腔手術時の中鼻甲介処理の有益性
副鼻腔炎は近年、気管支喘息を合併した症例が増加しており、特に日本においてこの傾向が目立ちます。好酸球性副鼻腔炎と呼ばれます。ここ数年で診断基準が制定され、また厚生労働省の難病にも指定されるなど大きな変化がありました。わかりやすく言えば鼻の中で気管支喘息の病態と似た変化が生じており、鼻ポリープ(鼻茸)が多数存在するような病態です。鼻閉、嗅覚障害などの症状を示すことが多く、特に嗅覚障害は多くの症例で程度の差がある物の自覚される症状です。嗅覚はにおい分子が嗅粘膜と呼ばれる部位に到達することにより知覚されますが、副鼻腔炎ではこの粘膜が存在する、嗅裂と呼ばれる部位にポリープがあったり、粘膜の浮腫により狭くなることでにおいを感じ難くなっている場合があります。中鼻甲介という鼻内の構造物はこの嗅裂の入り口に当たる部位に存在します。また手術時の重要な解剖学的な指標になるなどの働きも持っています。中鼻甲介の形態・機能を温存し、嗅裂に取り込まれる空気を増やすために中鼻甲介の骨を粘膜下で除去するという手術方法を行っており、それに対する効果を検討しています。
乳酸菌投与による、好酸球性副鼻腔炎の治療効果の検討
ある種の乳酸菌は花粉症などのアレルギー性疾患に対して効果を有することが知られています。好酸球性副鼻腔炎はアレルギー疾患ではないと考えられていますが、一部共通または類似した病態が存在しており、アレルギー疾患と同様に副鼻腔炎に対しても乳酸菌が治療効果を発揮するかを検討しています。対象となるのは好酸球性副鼻腔炎で手術を受け、術後管理を受けておられる患者さんになります。